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結 菫色の春薫る隻腕の妻神 + 4 +

2025-06-26 06:54:47

 朱華はうたうように神の求婚に応え、彼の唇を奪い取る。

 気づけば至高神の気配は遠のき、氷辻の姿も消えている。夜澄は時を止めるかのような長い口づけを夢のように感じながら、舌先を転がしていく。

 そのまま、朱華が恍惚とした表情で夜澄を受け入れるのを確認してから、未晩が刻みつけた接吻の痕を消毒するようにひとつずつ、舐めとっていく。

「っふ、あ……んっ。夜澄……」

 青ざめていた表情には朱が戻り、自分を呼ぶ声にも艶が混じる。どこか非難するような彼女の声を無視して、夜澄は傅くように、口づけを贈りつづける。

 やがて、蝶が蜜を求めるように身体中を廻った夜澄の唇は朱華のそれへと再び舞い戻る。

 衣を乱されながら全身に口づけを受けた朱華は、それだけで自分の蜜壺が潤ってしまったことに気づき、恥ずかしそうに顔をそらす。

「……だめ、そこは」

「濡れたのは、俺だからだろ?」

 無言で認める朱華の髪を愛おしそうに撫で、夜澄はもう片方の手でしっとりと濡れそぼった秘蜜の花園へ指を進めていく。先ほどまで死んだように眠っていたというのに、まるで春の訪れによって芽吹いた花木のように、朱華の身体は敏感に反応している。

「うん……夜澄だから」

 未晩に触れられたときはけして受け入れようとしなかった蜜口も、いまはとろとろだ。

 幽鬼となった彼が水晶で強引に押し入れられて自衛するようにすこしだけ濡れたが、それは生理的な現象に近くて、快楽を伴う愛液ではなかった。だから彼に裸に剥かれて唇や手や道具で全身を触れられても……ぞわぞわした感覚だけに苛まれて最後まで桜蜜を分泌させることができなかった。

 それなのに、夜澄に触れられると、繋がる前から溢れるように朱華の身体はあまいあまい蜜を生み出すのだ。

 至高神に認められた今、このまま夫婦神の契りを結べば、さらに快楽に溺れる身体へ成熟し、やがては神との子を孕むことになるのだろう。

「そうだ。俺だけを感じろ……未晩の痕は快楽で上書きしてやる。何度でも刻みつけて、貫いて……」

「あぁっ!」

「お前のすべてを俺がとろとろに蕩かしてやる。だから
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